ラピナス社 特殊工業材料
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生体溶解性ロックウールとは
オランダのラピナス社(デンマークのロックウールインターナショナル社の子会社)製ロックウールは世界で唯一の生体溶解性ロックウールです。1000℃を超える優れた耐熱性と機械的特性により摩擦材、ガスケット、シーリング材、塗料、樹脂、特殊紙など幅広い用途に世界中で使用されています。また、健康、環境面でも安全な生体溶解性の無機繊維であり、Note Qを満たす物質としてEU,WHO/IARCの発癌性分類からも除外されています。
Note Qとは:
無機繊維は通常EU及びWHO/IARCにおいて発癌性分類に登録されています。例:アスベスト(EU:カテゴリー1、IARC:グループ1)、セラミックファイバー(EU:カテゴリー1B、IARC:グループ2B)、スラグウール(EU:カテゴリー2、IARC:グループ3)
発癌性分類から除外するための条件としてNote Q(Commission Directive 97/69/EC)が制定されました。医薬品安全性試験実施基準の規定を満たす検査機関GLP(Good Laboratory Practice)において、吸入や気管内挿入による生体溶解性テストまたは腫瘍発生がないことを確認することがNote Q認定の条件となっています。ラピナス社の生体溶解性ロックウールは産業用途において世界で唯一のNote Q認定のロックウールです。
肺の中にはpH7.4(細胞外)とpH4.5(マクロファージ内の環境)の2種類のpHが存在します。ラピナス社の生体溶解性ロックウールは、一般的なロックウール(スラグウール)と比較してpH4.5での溶解速度が約10倍です。生体残存性が低く、長期間吸引試験においても発癌の兆候は認められておりません。
ラピナス社の生体溶解性ロックウールは、従来品と比較して高アルミナ低シリカの組成です。厳密な製造管理によって常に化学組成は一定に保たれ生体溶解性の品質を維持しています。非営利団体のEUCEB(European Certification Board for Mineral Wool Products)及びRAL(Deutsches Institute for Guetesichering und Kennzeichnung)による年2回の抜き打ち検査において生体溶解性の品質が確認されています。
生体溶解性ロックウールは、以下のような化学組成を持った人工鉱物繊維です。
SiO2 | 42.7 % |
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CaO | 20.6 % |
Al2O3 | 18.5 % |
Fe2O3 | 7.7 % |
MgO | 6.0 % |
その他 | 4.5 % |
生体溶解性の要求品質を維持するために厳しい製造管理を行い、常に一定の品質を持っています。
成分を管理しているため鉱床による影響を受けません。
ショット含有量 | 0.1-40 % |
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繊維径(数平均) | 5.5 μm |
繊維径(D10) | 1 μm |
繊維径(D50) | 4 μm |
繊維径(D90) | 8 μm |
表面積 | 0.20 m2/g |
繊維長 | 125-650 μm *断熱材用の未精製グレードは4000 μm |
モース硬度(ASTM E2546-07) | 6 |
耐酸性(塩酸20℃で試験) | pH3以上で安定 |
耐アルカリ性(水酸化ナトリウム, 20℃) | pH12以下で安定 |
融点(DSC) | >1200 ℃ |
結晶化温度(DSC) | 881 ℃ |
寸法安定性 | >1100 ℃ |
軟化点(Littleton) | 833 ℃ |
ガラス転移点(DSC) | 683 ℃ |
燃焼ロス | 0.3 %以下 |
水分 | 0.1 %以下 |
密度 | 2.75 g/cm3 |
弾性率(20℃, 50%RH) | 100 Gpa |
引張強度(20℃, 50%RH) | 800 Mpa |
繊維長及びショット含有量はグレード毎に厳密に管理して生産されています。また、アミノシラン、界面活性剤、合成ゴム, 熱伝導性物質などで表面コーティングされたグレードもあります。
ラピナス繊維製造方法
1.高温の炉で原料鉱石を溶融し中間製品(粗ロックウール)を製造します。
2.溶融した原料鉱石は回転するロールと接触することにより繊維を形成します。
3.粗ロックウールのショット(非繊維分)を除去し繊維長を管理することにより各種グレードを生産します。