マグスイッチ社 永電磁リフティングシステム
- INDEX
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- 大型鋼板搬送で水タンク・タワー建設の生産性を向上 Maguire社の事例 (永電磁リフティング/固定フレーム)
- 耐震補強部材メーカーが大型鋼板の安全・効率搬送を実現 CoreBrace社の事例 (永電磁リフティング/伸縮フレーム)
- 振動機械メーカーが永電磁リフティングシステム導入で生産性と作業安全性を向上 General Kinematics社の事例
(永電磁リフティング/切断ワークハンドリングシステム)
大型鋼板搬送で水タンク・タワー建設の生産性を向上 Maguire社の事例
会社概要と事業内容
Maguire社は1915年に設立され、米国北部中西部を中心に水タンクの保守・修理を手掛けてきました。サウスダコタ州スーフォールズに本社を置き、1982年にミネソタ州のMaster Tank社を買収することで、設計・製作・据付まで内製化を実現しました。現在、従業員は約225名で、顧客は米国34州に広がっています。
同社は「給水塔や水タンクの保守、製作、現場建設を一貫して行える国内でも数少ない企業」のひとつです。
新施設による生産効率向上
これまでMaguire社は60,000平方フィート(約5,570u)の4棟に分かれて作業を行っていました。しかし、原材料や部材を何度も移動させる必要があり、製品フローに非効率が生じていました。
新たに70,000平方フィート(約6,500u)の施設に集約することで、すべての工程を1か所に統合。原材料は施設の入口から投入され、完成品は出口から出荷されます。このレイアウトにより、作業の流れがスムーズになり、生産性と品質が向上しました。新施設には最新設備を導入しており、同人数で生産能力を2倍にすることを目標としています。
フェイルセーフ設計のマテリアルハンドリング
材料搬送の効率化と安全性向上のため、Maguire社は屋外型オーバーヘッドクレーンを導入しました。従来はフォークリフトを使用していましたが、安全面で潜在的な危険がありました。
さらに、マグスイッチ社の永電磁リフティング/固定フレームを採用しました。このシステムは停電時でも保持力を維持するフェイルセーフ設計で、10〜50フィート(約3〜15メートル)の鋼板を最大40トンまで安全に吊り上げられます。100%稼働サイクルに対応しており、Maguire社の生産ラインに最適です。
オーバーヘッドクレーンに吊るされたスプレッダービームは、材料搬送カートから鋼板を取り出し、プラズマ切断用作業台へ正確に配置します。複数枚の同時搬送も単枚搬送も可能で、短尺・長尺の板材、異なる厚みの鋼板にも柔軟に対応できます。
マグスイッチ社の永電磁リフティング/固定フレームを使用することで、
Maguire社は最大50フィート(約15メートル)の長さの鋼板の吊り上げが可能になりました。
市場ニーズ
Maguire社の仕事の多くは、老朽化した給水塔の交換や、地域の人口増加に伴う容量拡張です。顧客は都市、町、市町村の水道局、民間オーナーなど多岐にわたります。給水塔の容量は5万から75万ガロン(約19万から284万リットル)ですが、新施設では最大150万ガロン(約568万リットル)の球形給水塔も製作可能です。
従来は最大で厚さ1.5インチ(約38ミリ)の鋼板までしか対応できませんでしたが、新工場では2.5インチ(約63ミリ)厚の鋼板まで加工が可能になりました。これにより、厚鋼板を使用した大型タンクの製作が可能となりました。
導入メリットと設備構成
従業員は新施設での作業を8月初旬に開始し、パイロットチームによる設備設置・試験運用で製品フローの確認を行いました。安全性向上のため、施設内ではフォークリフトを廃止し、現在16基のオーバーヘッドクレーンを稼働させています。
新設備の主要構成は以下の通りです:
● プラズマ切断作業台(既存の2倍サイズ)
● 1,200トンプレス
● プレートローリングマシン 2台(伊 Seravesi社製)
● ブラストロボット(Blastman Robotics社製、手動・自動操作可能)
切断後の鋼板は、サブマージアーク溶接ラインを経てブラスト処理、塗装ブースへと効率的に流れます。
現場施工
工場からはサブアセンブリ単位で出荷され、現場施工チームが部品を溶接・組み立て、最終的に水タンクを据え付けます。施工対象は溶接鋼製水タンクや立管、給水塔など多岐にわたります。新施設の導入により、生産量は最大で2倍を見込んでいます。
すべての水タンクはカスタム設計に基づき製作され、顧客の仕様に完全対応しています。
品質
新施設の設計では、従業員の健康・安全・快適性を最優先に置いています。照明や温度管理などの環境設備も整備され、作業効率だけでなく生活の質向上にも配慮されています。
また、マグスイッチのシステムはIndustry 4.0標準に対応し、オートメーションによりエネルギー消費と運営コストを大幅に削減。給水塔業界における持続可能性と技術革新にも寄与しています。

重鋼板を切断・溶接・仮組みし、水タンクや給水塔を現場で組み立てます。

鋼板は、平台車で運ばれ、プラズマ切断機へ移動した後、溶接ラインに送られます。
耐震補強部材メーカーが大型鋼板の安全・効率搬送を実現 CoreBrace社の事例
企業概要と事業内容
CoreBrace社は、建築構造物の耐震補強用「座屈拘束ブレース(BRB)」を設計・製造するエンジニアリング企業です。BRBは地震時に建物の安全性を確保しつつ、従来必要だった材料やコストを大幅に削減できる革新的な製品です。
同社はこれまで、耐震性能が特に求められる多くの大型建築物にBRBを供給してきました。なかでも代表的な案件が、カリフォルニア州イングルウッドに建設されたSoFiスタジアム(ロサンゼルス・チャージャーズおよびスーパーボウル王者ロサンゼルス・ラムズの本拠地)です。スタジアムはニューポート・イングルウッド断層付近に位置し、非常に高い地震動の影響を受ける可能性があります。
CoreBrace社は、建物を地震から守る耐震製品で知られています。
その製品は、スタジアムや空港といった大規模プロジェクトでも採用されています。
実績と構造設計
このプロジェクトでは、1,100本を超えるCoreBrace社製BRBが採用されました。
スタジアムの構造設計は、2023年にアメリカ鋼構造協会(AISC)より「Innovative Design in Engineering and Architecture with Structural Steel(IDEAS²)Award」を受賞。ピン接合、ボルト接合、溶接接合など多様な接続方式を組み合わせた設計が高く評価されました。
AISCは受賞理由として、CoreBrace社の構造用鋼製ブレーススシステムが「大規模スタジアムでありながら軽やかな構造を実現し、地震時には柔軟に動ける設計となっている」と評価しています。
CoreBrace社のBRB(座屈拘束ブレース)は、各プロジェクトごとに最適なサイズで設計された鋼製コアから作られており、構造物の安全性と効率性を最大化します。コアは鋼製の外装ケースで覆われており、地震時にコアが座屈するのを防ぎます。これにより、BRBは建物とその居住者を大きな地震の揺れから守ります。
上の写真のSoFiスタジアムは、カリフォルニアの断層帯に位置しています。下のソルトレイクシティ空港でも、耐震性向上のために座屈拘束ブレース(BRB)が採用されています。マグスイッチ技術による効率化
近年、CoreBrace社のBRB生産量は大幅に増加し、製造工程の効率が課題となっていました。
特に、長さ50フィート(約15メートル)の鋼板をフックやチェーンで吊り上げる従来方式では、作業効率が低下し、安全リスクも高まっていました。
CoreBrace社はこの課題を解決するため、米国コロラド州スーペリアに本社を置くマグスイッチ・テクノロジー社(以下、マグスイッチ社)に協力を依頼しました。
マグスイッチ社は、励磁・消磁の切り替え可能な永久磁石技術を応用したマテリアルハンドリング分野のリーディングカンパニーで、41件の特許を取得しています。(その他出願中)独自技術である切替式マグネットの開発を起点に、現在では産業用原材料や製品を把持する多様な技術を展開する企業へと発展しています。
現場視察とシステム選定
CoreBrace社のアイダホ州ポカテロ工場では、複数の切断作業台が1日24時間、週6日体制で稼働しています。そのため、鋼板の積み下ろし作業における効率と安全性の確保は、生産ラインを円滑に維持し、顧客の需要に応えるうえで欠かせない要素となっています。
この課題を踏まえ、マグスイッチ社の営業・技術ディレクターが現地を訪問し、CoreBrace社における鋼板搬送プロセスを詳細に調査しました。既存の作業工程と鋼板サイズの実態を確認したうえで、マグスイッチ社のエンジニアリングチームは「永電磁リフティング/伸縮フレーム(40トン吊能力)」が最適であると判断しました。
同システムは、長さ20〜33フィート(約6〜10メートル)に伸縮し、10〜50フィート(約3〜15メートル)の鋼板に対応可能。このシステムには、マグスイッチ社の切替式永久磁石(SPM:Switchable Permanent Magnets)が使用されています。SPMは停電時でも磁力を保持するフェイルセーフ構造を持ち、一般的な電磁石と比較して消費電力が非常に少ない点が特長です。
マグスイッチチームとの協議の結果、CoreBrace社は、厚さ3/16インチ(約4.8ミリ)から2インチ(約50ミリ)の鋼板を扱うには、フェイルセーフ設計の永電磁リフティングシステムが理想的であると判断しました。
CoreBrace社のエノック・エスケルソン氏(生産管理責任者)は次のように述べています。
「電磁石の使用も検討しましたが、停電時の落下リスクや、60%のデューティサイクル制限を考えると実用的ではありませんでした。その点、マグスイッチ社のSPMは100%デューティサイクルで連続稼働が可能であり、落下や過熱の心配もなく、当社の生産ペースに十分対応できます。」
最終的な採用の決め手となったのは、安全性・メンテナンス性の高さ、そして吊上能力の高さでした。同社はこの新システムを活用し、ソルトレイクシティ空港の耐震補強プロジェクトにも貢献しています。同空港の拡張および改修工事は、来年の完成を予定しています。
マグスイッチ社は、永電磁リフティング/伸縮フレーム(40トン吊能力)を採用することで、CoreBrace社が保管エリアから切断工程へ搬送する多様な鋼板に対応できると判断しました。安全性への配慮
マグスイッチ社のSPMは、CoreBrace社のような鋼板搬送用途において、安全かつ効率的に運用できるよう設計されています。
同社では、深い磁束が求められる多枚取り用途向けのシリーズも製造していますが、その場合は停電時の落下リスクや、低デューティーサイクルによる稼働率の低下を十分理解したうえで使用する必要があります。
省エネ・自動化対応
マグスイッチ社は、独自技術をベースに、Industry 4.0技術を組み込んだ各種マグネットグリッパーを開発・商品化しています。
これらのグリッパーは、ほぼメンテナンス不要のマテリアルハンドリングシステムで、間接コストを削減し、より高速な生産スループットを実現します。
マグスイッチ社の永電磁リフティングシステムは、エネルギー消費を最大で90%削減できる可能性があります。同社は、同技術を活用したロボットセルで、ある大手ヨーロッパメーカーが最大40%のエネルギー削減を達成したことを紹介しています。また同社は、昨年から協働ロボット分野への参入を開始しています。
多様なリフティングシステム
マグスイッチ社のHeavy Lifting Solutions(永電磁リフティングシステム)部門は、鋼板、パイプ、Iビームなどの重量物を対象に、安全で高効率な搬送システムを提供しています。
この部門は、小規模から大規模の工場や再生可能エネルギー、軍事、造船、鉄道向けに、安全で効率的な搬送ソリューションを提供するために設立されました。
永電磁リフティングシステムの製品ラインナップは、吊上長150フィート(約46メートル)・最大160トンまで吊上可能です。
コードレス電動モデル(CEリフターシリーズ)では、単体マグネットで最大4トンの吊上げが可能で、顧客のニーズに応じて柔軟に拡張可能です。積み重ねた鋼板を一枚取りできる作業台も利用できます。
技術チームは、有限要素解析(FEA)ソフトを活用し、設計段階から製品強度・ASMEリフティング規格への適合を確認します。顧客要件に応じてカスタム設計も行っています。
また、安全性検証(RIO)レポート発行、現場設置、現場でのオペレーター研修、定期再検査、修理対応まで、包括的なサポートを提供しています。
CoreBrace社では、座屈拘束ブレース(BRB)に加工するために、長くて重い鋼板を工場内で搬送する必要があります。振動機械メーカーが永電磁リフティングシステム導入で生産性と作業安全性を向上 General Kinematics社の事例
General Kinematics社のカスタム振動機械と工場概要
カスタム機械の製造において、それに応じた搬送(マテリアルハンドリング)システムが必要になる場合があります。イリノイ州クリスタルレイクに本社を置くGeneral Kinematics社(以下GK社)もこうした課題に直面していました。GK社は64年前に設立され、供給、選別、搬送、冷却、研削工程用のカスタム振動機械を製造しています。すべてオーダーメイドで、同じ機械は二度と作られません。工場の規模は25万平方フィート(約23,200u)で、従業員は300名以上、1シフト体制で稼働しています。昨年にはさらに5万平方フィート(約4,650u)を増設しました。GK社は世界各地に販売・流通拠点を持っていますが、製造はすべて本社で行われています。
部品取り出し作業の課題と安全性
GK社では、異なるサイズの部品を切断するたびに、作業者がプラズマ切断作業台から部品を取り出す作業に多くの時間を費やしていました。調査の結果、切断作業にかかる時間は全体の約30%に過ぎず、残りの半分以上が部品の取り出し作業に費やされていることが判明しました。従来の作業は手作業で行われ、作業者は機械に登ったり、作業台上の鋼製格子板の上を歩いて部品を集める必要があり、作業環境は非常に危険でした。重くて手で動かせない部品には、クレーンに取り付けた2平方フィート(約0.2u)の磁石を使って吊り上げていました。加工対象の鋼材はほとんどがA36鋼で、一部にはHardoxやARなどの高硬度鋼も使用されています。
マグスイッチ社の永電磁リフティングシステム採用
作業効率を向上させ、切断機の稼働時間を増やすため、GK社は複数の搬送機器メーカーを検討し、コロラド州スーペリアに本社を置くマグスイッチ・テクノロジー社(以下、マグスイッチ社)のシステムを採用しました。採用の決め手は、展示会でシステムを実際に確認したことと、ベンダーからの推薦です。生産性向上に加え、作業者が作業台に登らずに済む安全な作業環境を実現できることも主な理由となりました。
GK社の永電磁リフティングシステムは、主にA36鋼の吊り上げに使用されています。永電磁リフティングシステムの設計と導入
永電磁リフティングシステムの導入は、GK社が生産する部品のデータ提供から設計を開始しました。その後、両社のチーム間で詳細を詰め、約16週間で設計・製作を完了しました。システムのサイズは8フィート×20フィート(約2.5メートル×6メートル)、最大吊上能力は26,000ポンド(約11,800キロ)で、直径3インチ(約 7.6センチ)以上の部品の99%を吊り上げることができます。同時にファイバーレーザー切断機も導入し、レーザーと永電磁リフティングシステムを合わせて、一つの大型投資計画としました。
この永電磁リフティングシステムのサイズは8フィート×20フィート(約2.5メートル×6メートル)、最大吊上能力は26,000ポンド(約11,800キロ)です。導入後の作業効率と安全性向上
切断後の部品ネストは、クレーンで切断作業台から永電磁リフティングシステムでまとめて回収し、仕分け台で部品を分離・分類します。その後、部品番号や情報を付与してパレットに積み、組立工程に供します。従来はすべての部品を取り出してからでないと次の切断作業を開始できませんでしたが、永電磁リフティングシステムにより作業台上の部品を迅速に片付けられるため、次の鋼板の切断作業にすぐに移ることが可能になりました。
これまでは手作業で通常のネストを取り出すのに15分から2時間かかっていましたが、永電磁リフティングシステムの導入により、わずか60〜90秒で完了するようになりました。このシステムがなければ、レーザーの稼働率は約30%低下していたと推定されます。
GK社のオペレーターが永電磁リフティングマグネットで部品を位置決めしています。フェイルセーフ設計と保守性
このシステムは24個の磁気ユニットで構成され、1ユニットにつき5個の永久磁石を搭載しています。停電時でも部品を保持できるフェイルセーフ設計になっており、安全性が確保されています。また、各磁気ユニットは独立した回路で構成されているため、万一故障が発生してもシステム全体には影響せず、使用できなくなるのは4〜5個の磁石のみです。
GK社に永電磁リフティングシステムが納入される前、マグスイッチ社は評価用としてデモユニットと、最大吊上能力11,000ポンド(約5,000キロ)の小型ユニットを提供しました。GK社は小型ユニットも購入しています。納期の制約や海外輸送の遅延があったものの、システム到着後わずか4時間で稼働を開始しました。
マグスイッチ社の技術者は3〜4日間滞在し、作業者の訓練を行いました。約10名が訓練を受け、所要時間は1時間未満で、5〜6名が日常的に使用しています。メンテナンスは磁石や底部に付着した削りかすを払い落とす程度で済みます。電源を切ると残留磁力は残らず、削りかすの付着もほとんどありません。
過去にシステムを誤って設置しケーブルを挟んでしまった際には修理が必要になりましたが、マグスイッチ社が迅速に対応し、1日で復旧しました。GK社は、同社のサービスの迅速さと信頼性を高く評価しています。
マグスイッチ社の永電磁リフティングシステムは120個の永久磁石を搭載しており、電力で消磁します。そのため、停電が発生しても磁石は部品を保持し続けます。