金属積層造形の提案

金属積層造形におけるあらゆるご要望にお応えいたします

金属積層技術の最新動向 レーザ・電子ビーム・アーク溶接による造形技術

愛知産業 木寺 正晃
営業本部 商品統括部 レーザ事業推進統括課 主査

1.はじめに

2013年の米国オバマ大統領の一般教書演説に端を発したAdditive Manufacturing(積層造型技術)の一般産業のへの浸透は、わずか3年で大きく変化を遂げた。特に金属粉末を利用した積層造型技術においては、GE社がAM技術にて製作された部品を航空機部品に適用すると発表したからこそ、金属積層技術に関するマーケットが大きく成長したといっても過言ではない。そのGE社の公式発表として2016年9月にGE Aviation社によるスウェーデンのArcam社およびドイツSLM Solutions社の買収計画が発表され世界中に衝撃を与えたのではないだろうか。2016年9月現在、Arcam社は世界で唯一の電子ビームを熱源とするパウダーベッド方式の積層造型装置の製造メーカである。この装置を用いてチタンアルミナイドの航空機用タービンブレードの造形に成功したイタリアのAvio Aero社の航空事業部門が2012年にGE社に買収されたのは記憶に新しい。SLM Solutions社はレーザを熱源とするパウダーベッド方式の積層造型装置の中で、唯一1つの造形エリアに対し最大4台のレーザによる同時施工を可能とし、生産性が悪いとされるAM技術において最大の生産効率を持つ装置を製造会社である。これらの会社がGE資本下に入ることでその技術開発が大幅に加速されることが予想される。

さらに彼らのロードマップの中ではこれら以外にもいわゆる指向性エネルギー堆積型と呼ばれるLMD(Laser Metal Deposition)方式やワイヤを使用した造形方式にも言及しており、いわゆるAMに分類される技術をフルに活用すべく技術開発を加速してゆく姿勢が伺える。そういった中で日本における現状を考えてみる。
当初はいわゆるパウダーベッドフュージョンと呼ばれる@SLM(Selective Laser Melting)方式、およびAEBM(Electron Beam Melting)方式が脚光を浴び、様々な産業における技術革新が期待された。しかしながら装置が高額であり、現状ではごく一部のマーケットを除き生産性や利益に直結するような技術ではないため、日本国内における装置の絶対数が少なく、この技術に実際に触れる機会が非常に少ないという現状がある。それゆえ金属3Dプリンタとそのプロセスが非常に繊細なものであり、想像以上に難しい技術であることはあまり知られていないように思われる。

例えばパウダーベッドフュージョン方式の金属の積層造形において最も重要なことは、設計にある。3Dプリンタだからこそできる、従来の施工法では成し得なかった付加価値の高い製品を造ることが可能になるのである。では金属3Dプリンタだからこそできる製品のための設計とはどういったものだろうか。そこからスタートする必要があるのが現状である。しかしながらこれらの技術のリーディングカンパニーが存在する欧米では、SLM・EBM方式だけでなくBLMD(Laser Metal Deposition)と呼ばれるレーザクラッディングを応用した技術、C電子ビームとワイヤによる金属積層造型技術EBAM(Electron Beam Additive Manufacturing)や通常のDアーク溶接を応用した金属積層造型技術WAAM(Wire and Arc Additive Manufacturing)の開発も進み始めている。Bの技術はもともと表面改質のための技術であるし、C・Dにいたっては溶接そのものである。今回は開発が進むこれらの技術の中から実際に施工経験を持つA以外の技術と粉末材料について最新の動向を紹介をしたいと考える。

2.それぞれの技術の特徴

先に述べた@〜Dの技術は全て金属積層造型技術ではあるが、大きくはその熱源と材料の形状によって分類が可能だが、期待されるマーケットについては大きく異なると考える。

パウダー方式の金属3Dプリンタにおける設計から製品の完成に至るまでのフロー
図1 パウダー方式の金属3Dプリンタにおける設計から製品の完成に至るまでのフロー

図1はパウダーベッド方式の金属3Dプリンタにおける設計から製品の完成に至るまでのフローである。従来の工程においてはそれぞれの段階において独立した部署または担当が存在し、作業が進められていることが一般的ではないだろうか。しかしながら金属3Dプリンタを使用したフローにおいての理想は、これらの作業を1人の人間が行うことなのである。この部分が非常に分かりにくい部分であり、あまり説明がなされていないことが最初の問題点であると考える。筆者が考える問題点はもう一つあり、通常は何か装置を導入する際に最も重要な「対費用効果がすぐに出せる」という考えである。

まず一つ目の問題である3D金属プリンタの作業フローについて要求される事項を以下にまとめる。

  1. 設計:3Dプリンターを使うことでしか達成できない新たな設計思想。
  2. データ準備:設計したものが金属3Dプリンタで造形可能であるかを精査し、不可能であれ ば可能とする方法を考える。このとき溶接歪や入熱、得られた金属組織等を考慮する必要がある。また、造形に必要なサポートの要不要の確認や最少化も行う。
  3. 材料の準備:通常の溶接だけでなく粉末冶金の知識が必要となる。
  4. 実施工:レーザ溶接+粉末冶金の知識が必要となる。
  5. 後工程1:使用済みの材料をリサイクルする。
  6. 後工程2:サポートの除去、熱処理(応力除去・時効処理など)、マシニングなどによる最終仕上げ。

例えば施工中の熱変形だけでなく後工程の熱処理でも厳密には寸法は変化するのでこれら全ての要素を勘案した上で設計を行うことが理想ということになってしまう。こういった複雑な工程を経なければならない以上、対費用効果がすぐに出せるということがないことが分かるだろう。

しかしながらそういった状況を脱し、より広いマーケットにて装置が使用される場を広げることに大きく貢献する装置メーカとしてドイツのSLMソリューションズ社、粉末材料メーカとしてイギリスのLPWテクノロジー社がある。

3.SLMソリューションズ社について

SLMソリューションズ社は同社名になったのは2011年と非常に新しいが、実は20年以上前から金属の積層造型装置の制作を行っていた老舗中の老舗である。たとえば同社が世界で初めて開発した技術には、@レーザ光源にファイバーレーザを採用Aチタン・アルミ合金の造形B400Wクラスレーザの採用C出力の異なる複数台のレーザの採用D同出力の複数のレーザによる同時施工Eインラインのモニタリング装置、といったものが挙げられる。これは同社が商業ベースというよりも、多くの研究所からの依頼により特殊機を多く開発・納品してきたことが背景にある。また、その経験をもとにコマーシャルベースの製品をリリースするにあたり、本施工法の弱点でもある施工効率の遅さをカバーするために様々な独自の機構を開発してきた。GE社による買収によって研究開発が加速されると、より品質の高い装置の完成が早まるのではないだろうか。

用途に合わせたSLM社の3D金属積層造形装置のラインナップを図2に示す。

SLMシリーズ 取扱製品仕様一覧
図2 SLMシリーズ 取扱製品仕様一覧

4.SLM社装置の特徴

研究開発用途での世間装置を多く制作してきた同社には、ユーザの要求を元に開発された、試験的造形だけはではなく、将来的な量産を視野に入れた特殊機構が多く取り入れられている。研究開発用に向くSLM125、研究開発から試作に向くSLM280、そして将来的な量産を視野に入れたSLM500がラインナップとしてそろっており、各機種に特徴的な機構を有している。その機構を以下に説明する。

4.1 部分造型オプション(図3)
SLM125およびSLM280に搭載可能な機構で、SLM125では125mm×125mm×125mm、SLM280では280mm×280mm×350mmという造型エリアに対し、 50mm×50mm×75mmまたは100mm×100mm×160mmと言った、部分的なエリアのみでの造型が可能になる物である。単純にFeをベースとした質量で比較した場合、例えば280mm×280mmのエリアにFe系材料のもので高さ10mmの物を造型しようとした場合、およそ6.2kgの材料が必要となるが、50mm×50mmのエリアであればそれは200g程度で済むのである。通常の施工サイズからの交換時間も30分程度と非常に短時間できる。勿論実際は計算通りにいかないこともあるであろうが、高価な、もしくは特殊な材料で試験が必要な場合に力を発揮する。

部分造型オプション
図3 部分造型オプション

4.2 複数台のレーザによる施工(図4)
中型機のSLM280の搭載レーザは通常400Wが1台であるが、400W+1000Wの組み合わせにより結晶方位のコントロールを念頭においた試験的な施工や、400W×2台、700W×2台による高速造型が可能となっている。さらにSLM500では、通常の400W×2台に対し400W×4台または700W×2台のオプションも備えている。材料そのものの特性や様々な要因が関係してくるので、レーザを増やせば単純に造型速度が倍になる訳ではないがそのプログラムを含め、より効率的な施工を行うための機構が評価され、既に実際の製造ラインで使用されつつある。

複数台のレーザによる施工
図4 複数台のレーザによる施工

4.3 各種金属材料に適した豊富なレシピとオープンソースな装置
既にSLM社が保有している開発済みのレシピ(パレメータ)、鉄系・SUS・ニッケル系合金・チタンおよびチタン系合金・アルミ系合金の合計12種類程度のパラメータが無償で提供される。これは開発目的等で新たな材料にて試作を行う場合には、各ユーザが自由に調整できる形になっており、さらに独自材料による造型レシピ開発を補助するソフトウェアも内蔵されているので、その汎用性は非常に高い物になっている。
また、欧米では公にはレシピが存在しない材料であってもユーザが独自にレシピ開発を行い、他社にはまねが出来ない独自のものづくりも非常に盛んである。

4.4 双方向パウダーリコーター
粉末を敷く動作はリコーターの片側移動(往復の必要なし)で行うことができ、レーザの複数台同時施工により、30〜40%の施工時間削減が可能となる。

4.5 インラインのモニタリングシステム
インラインのモニタリングシステムを搭載し、施工面を毎層観察可能。歪み等の発生によるリコーターの衝突回避はもちろん、例えば複数個制作している場合にそのうち一つに不良が発生してもその部分だけ施工を中止し、他の部分のみ施工を継続すると言ったことも可能。

4.6 パウダーの再利用
特に研究期間で使用される事が多かったため、材料を交換しながら実験を行う場合は非常に簡単なパウダーのふるい装置を持っている。たとえ施行中であっても完全にクローズドの状態で20分程度で使用済みパウダーの選別・再利用が可能となっている。また、量産目的の際は完全にクローズループによる粉末の最利用が可能となっており、あらゆる場面に対応可能である。

5.LPW社について

例えばSLMの技術で25mm×25mm×25mmの立方体を作ろうとした場合、おおよそではあるがその溶接長は8000mにも及ぶという。しかも1層の厚さはおおよそ50μm程度なのである。この8000mという溶接施工を問題なく行うにあたり、装置そのものはもちろん、その材料が如何に重要かということは容易に想像できるだろう。レーザ・材料・冶金の複合技術であるAM技術においてそれぞれの特性を理解した上で、それぞれの施工法に対して最適の材料を提供する。それがLPW社である。

LPW社は2007年にDr. Philip A Carroll氏によって設立された比較的若い会社であり、特に金属の積層造型用材料の供給に特化したメーカである。従来の金属粉末の供給会社と違うところは、ジョブショップ、工業、アカデミックの各分野において必要とされる、その徹底した品質管理から新合金の共同開発はもちろん、材料の品質管理にいたるまで幅広いサポートが可能なことである。例えば、同社は航空機関連の認証であるAS9120、AS9100および医療関連であるISO13485を取得しており、イタリアのAVIO AERO社に対して航空機用タービンブレード用のチタンアルミナイド材の開発を行った会社でもある。(写真1

TiAl製タービンブレード
写真1 TiAl製タービンブレード 写真提供(伊)AVIO AERO社

AM技術においてLPW社が取り扱う材料は多岐にわたり、一般流通商品として扱う材種だけでもニッケル系、コバルト系、Fe系、アルミ系、チタン系、銅系、そしてセラミックス系合わせて40種類以上、特注品も含めるとその材種は400種以上に及ぶ。これの意味するところは、先にも述べたが、AM技術において先行する欧米諸国ではメーカ純正のレシピが存在する材料はもちろん、他社との差別化を図るためにオリジナルの材料で製品開発を行っている会社が非常に多いことを意味しており、大きな成功事例が今回触れたイタリアのAVIO AERO社の例が挙げられる。しかも同じ成分でも製法によってその材料の特性は大きく変わるため、コスト・品質・安定性においてそのマーケットの要求に適したものを選択する必要がある。LPW社はまさにそのノウハウを所有しているのである。

さらにAM技術において材料は高価であることからリサイクルは必須であるが、各ユーザによって造形物の形状や質量、使用する材料の種類が異なるときにいったいどうやって品質管理を行えばよいのかという問題に突き当たる。この問題を解決するために彼らが提供するサービスがPowder Solve(R)である。例えばある材料を100kg購入し、装置A及び装置B各50kgずつ入れたとする。このときパウダーは造形に使用した分、回収された分、未使用分に分類される。この状態でさらに足りなくなった分を補充しながら造形をしてゆくと、ねずみ算式にパウダーの使用履歴が増えてしまうのである。(図5)これを簡単に可視化し、管理するためのソフトウェアとサービスも開始した。溶接というものがそもそも不安定なものであり、サイズがまばらなパウダーを数十μmの厚みで肉盛を繰り返すこの施工法においてはなおさらである。可能な限り不確定要素を減らすことが必要な金属の3D造形技術において、単純に材料を供給するだけでなく長くこのマーケットにかかわってきたLPW社だからこそ提供できる品質管理システムである。こういったことからもLPW社は最も進んだパウダーメーカの一つといってよいだろう。

パウダーの使用履歴
図5 パウダー使用履歴の模式図

6.Trumpf社のLMD

LMDシステムは金属3Dプリンタよりも早くから研究・商品化がされていたが、その導入台数(トルンプ社単体)は全世界120台程度の物である。これは当初の技術が溶射の代替として表面改質や部品の補修に主眼をおいていたからであると考える。技術の概要はレーザを照射することで発生した溶融プールに金属粉末を送給するというものである。熱源をプラズマに置き換えれば粉体プラズマや溶射と呼べる物で、前述の金属3Dプリンタのような一見して分かるような革新性が無かったことも普及が遅れた一因であると考える。しかしながら単純な機構であるがゆえに複数の金属粉末を同時に、しかもそれぞれの比率をある程度コントロールすることで合金形成の実験や、金属パウダーと同時にセラミックのパウダーを送ることも可能である。このように非常に面白い実験が手軽に出来ると同時に従来の技術では不可能であった希釈の少ない肉盛も出来ることから今後の応用が大いに期待できる技術であると考える。例えばタングステンカーバイドの粉末をカッターナイフの刃先に肉盛することで、切れ味の寿命を5倍以上延ばすことに成功したのである。(写真2)これは一般事務向けではなく壁紙や絨毯等を切断する内装業者をターゲットにしており実際に非常に高い評価を受け、この刃の製造のために装置を8ライン設置している。

刃先にタングステンカーバイドの肉盛
写真2 刃先にタングステンカーバイドの肉盛 写真提供(英)LPW Technology社

このような複合的な肉盛が可能であることがこの技術の特徴ではないだろうか。また、パウダーベッド方式ほど粉末の品質を問わず、従来技術である溶射向けの材料が使用できる点もコストの面では非常に大きな利点となる。さらに技術の進歩の伴い微細な粉末(粒度15-45μm)を使用することでパウダーベッド方式に近い精度での造形や、粗い粉末(45μm-125μm)の粉末を使用することで後述のワイヤ方式のような粗い造形も可能となる。まさにパウダーベッド方式とワイヤ造形の中間に位置するような技術と言っても良いのではないだろうか。

7.SCIAKY社とFronius社

金属の3Dプリンタという話になると前述のパウダーベッドタイプが脚光を浴びがちであるが、実はアークや電子ビームを熱源としたAM技術も存在する。アークであればイギリスのクランフィールド大学がFronius社製の溶接電源を利用して大手航空会社との共同研究で成果を出しつつあり、電子ビーム+ワイヤであれば米国のSCIAKY社がEBAMという名称で大きな成果を出しているといえるだろう。Fronius社は世界で始めてデジタル溶接電源を開発し、近年ではCMT(Cold Metal Transfer)という自動車向けの薄板に最適な低入熱溶接法を開発していた。またSCIAKY社ではもともと航空機向けの専用溶接機を製造してきた会社であり特に電子ビームの技術では、可動式の電子銃を開発した会社でもある。これらの技術の特徴は従来の溶接技術を使用しながらも、綿密な入熱制御により大型構造物をより安価に速く作れないか、ということに主眼が置かれている。これは一般的なパウダーベッドプロセスが従来の技術では製造不可能な新しい製品を生み出すことに使用されることに対して、アーク方式や電子ビーム方式は大型構造物を削り出しよりも効果的に製造することを目的としているのである。例えば写真3は、あるチタン製の部品で直径が900mm程度のものだが、最終製品向けには5組10個が必要になるものである。工程を切削から造形に切り替えることで、その制作期間とコストを半分以下にすることに成功したものである。 

タービンブレード
写真3 Ti6Al4V製 Φ900mm造形物 写真提供(米)SCIAKY社

ではアーク方式と電子ビーム方式でどのような差があるのだろうか。まずはその自由度の差が挙げられる。極端ないい方をすれば、アーク方式に造形サイズの制限は無いのである。例えば6軸ロボットを走行台車に乗せれば自動車のフレームや船舶、果ては建築物にも応用ができるかもしれない。また、従来のアーク溶接電源が応用できるが、非常に新しい技術であるため、パウダーベッド方式でいうところの目的の材料で任意の形状を作るためのレシピが存在しないのでこれからの開発が期待される。

次に溶接雰囲気が挙げられる。アーク方式が大気中もしくは不活性ガス雰囲気中で施工が行われるのに対し電子ビームは真空中で行われることである。そのため電子ビーム方式は真空チャンバー内で施工を行う必要があり、そのサイズにも制限ができてしまう。しかしながら溶接品質という意味では非常に優れているのでアーク方式との住み分けはできてくると考える。

さらにSCIAKY社のEBAMは造形レシピを開発するためのソフトウェアも搭載されており、これまでにタングステン・タンタル・ニオブ等の特殊材料の造形にも成功しており、写真4はタンタル製のゴブレットである。これは現状ではEBAMでしか達成できない造形であり、限られたマーケットではあるが、加速器や発電関連の特殊部品への応用が期待される。

タンタル製ゴブレット Φ50×H100
写真4 タンタル製ゴブレット Φ50×H100mm 写真提供(米)SCIAKY社

また、アーク・EBAM共に大きく期待できるマーケットの一つとして型関連のマーケットを挙げている。特に大型の型の補修や設計変更における日数・コストの削減が期待されるためである。

愛知産業は、技術商社として海外技術の紹介を行うだけでなく、技術提案型企業として豊富な実績を有しており、海外最先端技術や日本にはない高度技術等に精通し、常に海外との密接な技術交流を行いその実力を養ってきた。金属積層造形の技術においても装置の販売だけでなく、ジョブショップとしても日々装置を使用して経験を重ねている。そのバックグランドには、70年を超える歴史のなかで特に豊富な溶接技術・経験を有する技術陣と数多くの実例を有する設計陣を持ち、高度な設計力と独自性を活かしたシステム・装置の製造がある。我々は溶接技術、材料、装置をそれぞれ異なるソースから最高のものを選別し提供しており、溶接技術、材料、装置をそろえる我々だからこそ提供できる金属の積層造形のトータルソリューションがあると考える。

また、一般に部品単価が安いといわれる自動車業界においても、金属3Dプリンタの導入が進んでいることが伺える。同時に全く逆の発想であるが、既存の型に対する応用技術としてアーク造形やEBAM技術というものが存在し、AMでありながらコストダウンに使用する例も見受けられることから、AM技術そのものが大きな可能性を秘めていることも伺える。また、EBAMについてはロッキードマーティン社が人工衛星部品の製造に適用することで大幅な納期の短縮とコストの削減ますます興味深いマーケットとなった。しかしながらあらゆるAM技術はユーザによる研究開発が必須であり、早く始めれば始めるほど成功時の見返りは大きいものとなる。今後は自分のいるマーケットだけでなく、様々な応用の可能性を検討することで他にはない独自技術を持つ企業が増えることを期待するものである。

「機能材料」2016年12月号 掲載

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